まろにえ公園は、小学校の隣にあるこじんまりした公園です。なつかしの遊具、すり鉢状すべり台の「アリ地獄」があるのが特徴。小田急線の唐木田駅から、南東へ徒歩10分ほどの場所にあります。
基本情報
遊具
公園にある遊具は、アリ地獄(すり鉢状のすべり台)と砂場です。
↓円の全周に傾斜があるのではなく、平らな部分もあるすり鉢状のすべり台。真ん中は砂で、着地のクッションになってくれそう。
↓砂場のまわりには木が茂っていて、日陰が十分にあります。
公園のようす
↓ハナミズキが咲く遊歩道を通り抜け、
橋を渡ればすぐ左手に、まろにえ公園が見えてきます。
三角形のオブジェ
↓まろにえ公園に着くと、目の前にドーンと三角形のオブジェが建っています。
↓三角形は鉄板(実際に鉄かは?)と骨組みで出来ていて、板には無数の穴が開いています。
三角の中に入って、太陽の光を透かしてみる用途らしいですが、夜に中からライトアップしても綺麗そうです。
↓三角のオブジェから一段下がった場所に広場があります。
アリ地獄
↓その高低差を利用して、すり鉢状のすべり台が設置してあります。この形状のすべり台を、アリ地獄と呼ぶのが一般的かはわかりません。
アリ地獄は、アリが抜け出せない恐ろしいトラップというイメージですが、こちらの遊具は平らになっている部分があるので、簡単に抜け出せます。
マロニエ
↓公園の広場の中央に、公園名の由来と思われる、マロニエの木が立っています。
↓公園の真ん中にシンボルツリー、といった存在感のマロニエ。マロニエというのは、セイヨウトチノキを指すそうですが、赤ピンクの花が咲いているこちらは、ベニバナトチノキのようです。
銀座にマロニエ通りという所があるので、googleストリートビューで見てみると、5月の画像で同じような赤い花が咲いています。
銀座マロニエ通りの街路樹も、ベニバナトチノキのようです。
他の地域でも街路樹として見かけるのは、ベニバナトチノキの方が多いらしく、実際私も赤い花の木しか認識していません。
↓公園を見渡すと、水道とモザイクタイルのベンチがあり、一段高くなったところに三角オブジェが見えます。
大松台
↓公園のすぐ隣には、大松台小学校があります。
まろにえ公園や、まわり一帯の現在の地名は鶴牧で、小学校の向かいにある中学校も「鶴牧中学校」となっています。
「大松台」という名は、昔この付近に大きなクロマツが生えていたことから由来しているようです。
もともと昔から親しまれていた地名だったということで、小学校に名付けられたそう。
地名の元となったクロマツは、昭和8年に落雷によって枯れてしまい、今は残っていないそうで残念ですね。
参考:橋場万里子.『多摩の歴史さんぽ』.唐木田コミュニティーセンター運営協議会,2022
↓公園の片隅にはシランが咲いていました。
観賞用として庭に植えられているのを見かけますが、野生のものは準絶滅危惧種なんだそう。
モミジバフウの並木道
↓公園を出て北に行く遊歩道は、モミジバフウの並木道になっています。
モミジバフウは大きめの5〜7裂した葉をしていて、葉っぱの形がモミジに似ています。
秋になると葉の色が、緑から、黄色〜赤のグラデーションになって、美しい色合いになります。
秋のモミジバフウの並木道
↓11月下旬の様子。
↓並木道のつきあたりには三叉路が。多摩センター駅と唐木田駅へ行く道で分かれています。
↓多摩センター駅の方向へ進むと、またモミジバフウの並木道に差し掛かります。
そして、画像の左手には鶴牧西公園があります。
植物
公園で見かけた植物について。
ベニバナトチノキ(ムクロジ科トチノキ属)
ベニバナトチノキは園芸品種で、セイヨウトチノキとアメリカアカバナトチノキを交配種。
「マロニエ」という名は、セイヨウトチノキのフランス語名です。
セイヨウトチノキとベニバナトチノキは、それぞれ花の色が違います。
セイヨウトチノキは白色に赤い斑が少し入り、ベニバナトチノキは赤ピンク色。
↓というわけで、公園の木はベニバナトチノキと思われます。
マロニエと呼ばれるセイヨウトチノキでは無いようですが、細かいことは気にしない。
↓花期は5月で、枝先に花が連なり咲いています。色合いは赤っぽいピンク色で鮮やか。
葉はトチノキの葉のように、手のひら状に小葉に分かれています。5〜7裂し、鋸歯があります。
葉が大きめですが、花も集まって円すい形に咲くので、葉に隠れることなく目立っています。
シラン(ラン科シラン属)
公園の一角に知らんが咲いていました。
シランは野生のものは、準絶滅危惧種ということですが、こういった場所に生育しているのは、おそらく観賞用に栽培されたものが増えていったもののようです。
野生のシランは、川の近くの岩場などで育つことが多いそう。
↓赤みを帯びた紫色で、とても綺麗な色をしています。
花には外花被片(萼)と内花被片(花片)合わせて6枚あります。
↓内花被片の1つに波なみしたヒダがついていて、他の5枚の花被片とは違う形をしています。
これは唇弁(しんべん)というもので、虫が入りやすいように進化した形ということです。
色合いも虫が来やすいような、目立つものが多いそう。
おしべとめしべは唇弁の上にあり、蕊柱という柱のような形状になっています。
ハナミズキ(ミズキ科ミズキ属)
公園に着くまでの道に、ハナミズキが並んでいる遊歩道があります。
↓白い花びらに見えるものは、総苞という花序全体を包むものです。
タンポポで言うと、花序の基部にある緑の部分が総苞です。
タンポポは、総苞片が反っているか、いないかで、外来種と在来種を見分けられます。
総苞は緑色が多いですが、ハナミズキのように花弁ような見た目のものもあるんですね。
↓ハナミズキの花序は、4枚の総苞の中心に集まって咲いている黄緑色のもの。花の構成は、花弁4枚、おしべ4本、めしべ1本です。
↓ちなみにこちらはヤマボウシ。ハナミズキと同じミズキ科ミズキ属で、花の形も似ています。
花の違いは、ハナミズキでは白い総苞片の先端の中央がくぼんでいるのに対し、ヤマボウシでは総苞片の先端が尖っています。
花期も少しずれています。ハナミズキの方が葉より先に先咲いていて4〜5月に見かけますが、ヤマボウシでは5〜6月頃、木に葉が生い茂るのと同時に花を見かけます。
秋に果実を見比べると、それぞれ全然形が違います。
ハナミズキは楕円形の真っ赤な小さい実が集まってなっています。
ヤマボウシはイチゴのような大きさで、丸くブツブツがある実がなっています。